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森林由来J-クレジットの仕組みと続く責任

森林由来J-クレジットの仕組みと続く責任

森を活かす

公開日:2026.11.03

更新日:2026.10.28

森を育てる費用を、木材販売以外からも確保できないか。森林由来J-クレジットは、その問いを考える制度の一つです。理解の入口は、森林が持つ炭素のすべてを売る仕組みではなく、制度の条件に沿った活動による吸収量を認証する仕組みだという点にあります。

出典確認日:2026年10月28日

何を認証する制度なのか

J-クレジット制度は、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国が認証する制度です。森林分野では、森林経営活動、植林活動、再造林活動の三つの方法論があります。方法論とは、対象となる活動や算定・モニタリングの方法を定めたルールです。

たとえば森林経営活動の方法論FO-001は、認定された森林経営計画に沿って適切に施業されている森林を対象としています。ただし、これだけで参加条件をすべて満たすわけではありません。[1]

すでに立っている木の量に価格を掛ければ売上になる、という理解は適切ではありません。どの活動が対象となり、どの期間の吸収量を、どのルールで算定するのかを確かめる必要があります。

森林を持っているだけでは始まらない

林野庁の創出者向けハンドブックは、FO-001について、森林を保有しているだけでは認証を受けられず、中長期的な森林経営と実施体制が必要だと説明しています。

さらに、制度がなくても同じ活動を継続できるかという「追加性」の考え方があります。ハンドブックは、クレジット収入がなければ事業の実施・継続が困難であることを説明する経済的な評価などを示しています。ただし、FO-001では一定の条件を満たす場合、個別の追加性評価を行わずに要件を満たすと扱う仕組みもあります。[2]

ここから検討を始めるなら、最初に整理したいのは森林の現況、経営計画、関係する権利者、今後の施業予定です。吸収量の見込みだけを先に出すより、誰が管理し、誰が必要な記録を集めるかを明らかにすると、相談の論点が具体的になります。

認証後にも続く管理と報告

吸収した炭素が森林に保持されることを前提とするため、認証を受けた後にも対応が続きます。ハンドブック第4章では、認証対象期間中に加え、終了後10年間も森林経営計画等を毎年提出することが説明されています。

実施地を譲渡する場合の義務の承継や、土地転用などで吸収量を失わせた場合の補填も、確認すべき事項です。一定の再造林の扱いを選ぶ場合には、別途、再造林モニタリング期間の報告が関わります。[3]

「10年が過ぎれば、すべての対応が必ず終わる」とまとめることはできません。採用する方法論と施業内容によって条件を確認する必要があります。担当者の交代や所有者の変更を見越し、記録の保存先や引き継ぎ方法まで考えることが、企画段階の仕事になります。

クレジットの発行と販売は別の段階

ハンドブック第5章は、発行したクレジットが販売によって収入になることを説明しています。販売には相対取引や市場取引があり、相対取引では当事者間で量や価格を決めて契約します。[4]

したがって、認証見込み量をそのまま売上見込みと扱うことには注意が必要です。販売先、契約条件、支払い時期を確かめるまでは、収入の確定した計画にはなりません。

収支の検討では、販売価格だけでなく、計画づくり、必要な測定や記録、審査への対応、販売支援など、誰がどの費用を負担するかを見積もりで確認したいところです。これらは確認項目であり、すべての案件で同じ費用が発生するという意味ではありません。

相談前に整理したい四つの問い

- 対象の森林と権利関係を説明できるか。長期の管理について関係者と合意できるか。

- 施業計画と吸収量の算定に使う資料を、誰が継続して整えるか。

- 売却が予定より遅れた場合にも、必要な管理を続けられるか。

- 所有者や担当者が変わったときに、義務と記録をどう引き継ぐか。

これは編集部による初期検討のための整理です。個別案件の適用可否や収益性は、森林の条件と契約によって異なります。林野庁の制度案内から最新の制度文書と相談窓口を確認し、具体的な計画に照らして検討してください。[1]

森業として取り組むなら、収入が生まれる可能性と、その後も担う仕事を一緒に見積もることが大切です。クレジットを売る計画を、森林管理を続ける計画の中に位置づけて考えてみてください。

出典と参考資料

1. 林野庁「J-クレジット制度」。制度概要、方法論、最新制度文書への案内を参照。

2. 林野庁「森林由来J-クレジット創出者向けハンドブック 第1章」。森林経営、参加検討、追加性に関する説明を参照。

3. 同ハンドブック「第4章 プロジェクト実施者の義務」。特に本文148〜150ページ、155〜156ページを参照。

4. 同ハンドブック「第5章 クレジットの販売と活用」。本文163〜164ページを参照。

制度の説明は確認日時点で林野庁が公開している資料に基づきます。ハンドブックと制度文書に更新時期の違いがある場合は、適用される制度文書を確認してください。

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記事担当ライター

Editorial Team

Shall We Forest? 編集部

森を楽しむ、森で働く、森を活かす。森と人の新しい関係を、暮らしと事業の両方から考えるShall We Forest?編集部です。